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公安|監視ウイルス

2015年の頭出しからこのようなタイトルですが。

 

1月7日、温州(Wenzhou)のある開発特区のウェブサイトで、公安分局(警察署)が購入した設備一覧が掲示されていたのですが、ユーザ監視のための木馬(ウイルス)を納品した、という人の目を引くものがありました:

●スマートフォンウイルス(木馬):脱獄済みのアップル携帯やアンドロイド携帯に対し、通話、ショートメッセージ、保存写真などに対するリアルタイム監視を行う

●価格:10万元+4.9万元

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すぐさまネット上で騒ぎになり、該当サイトは間もなくしてこの掲示を削除しました。政府機関の調達を透明化し、財政支出を健全化する動きはウェルカムですが・・ 知られたくないものまでうっかり公開してしまうところは迂闊でしたね。

中国のネット上ではガヤガヤと議論が進みました:

・アホじゃないの、こんなモノを購入した事実を堂々と公開してるなんて

・これは別に今日始まったことじゃないし、騒ぐ必要ないでしょ

・我が国(中国)の監視技術は世界一だ、仮に自前の技術がなくても札束をポンと積んで購入するにまちがいない

・・・・・・

さて設備の提供者は「武汉虹信通信技术有限公司」となってますが、主力製品は無線関連機器で会社のウェブページにはどこも「監視用ツールの提供」らしきものはありません。また噂でこの会社のバックには国务院国资委がついてると囁かれてますが、真実はいかに。

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ということで 自国内の統制をますます強化する点においても、中国インターネット上では静かに「サイバー帝國主義」が進行していることといえましょう。

 

さて、12月に中国ドメイン管理組織である、CNNIC(中国ネットワークインフォメーションセンター)の責任者が交代し、新たに李晓东氏が任命されました。ここでおや?と思ったのが、今回の任命は中央网信办(中共中央网络安全和信息化领导小组办公室)が行ったことです。CNNICは本来、最高学術研究機関である「中国科学院」に所属してるものだったのですが、今回の任命で管轄が中央网信办(サイバー空間情勢指導グループ事務局)に移ったことが明らかになりました。

※これを日本で例えると、「NISCがJPNICの理事長を指名・任命した」になりますね

 

インターネット運用基盤であるNICが研究機関から上述組織に移ったことは、李晓东氏が自らその原因を述べたように「中国インターネット発展管理の戦略的な一環」であり、中央网信办が一段とサイバー権力を集中し、サイバー空間のガバナンスを牛耳る証しだと思います。

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そこで1月13日、ますます中央网信办の権威を示すことが発動されました:

●「国家网信办:50家违法违规网站及公众账号被依法关闭」

日本語ですと、「国家インターネット情報室、50の違法サイト及び違法パブリックアカウントを閉鎖」になります。

 

少しややこしいのですが、ここの国家网信办(国家インターネット情報室CAC: Cyberspace Administration of China)と言うのは”サイバー空間情勢指導グループ事務局”(=中央网信办)の国務院での看板で、中身は同じ構成員です。

※用語を揃えて今後中央网信办CACと略します。

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警察公安でも、通信管轄省庁でもない、CACが違法サイトの検挙・取り締まりを行った・・というのはかなり異様に映りました。サイトを閉鎖した、という行動からみるには、通信管轄省庁である工業情報化部の一部権限を持ってきた、のように推測します。

取り締まれたサイトは、共産党・政府機関を偽って情報発信を行ったもの;賭博・詐欺を行ったもの;アダルトコンテンツのもの;ニュース新聞公開違反のものなどがあると記載されてますが、言論統制強化であるのは間違いないと思います。

 

そして、違法・悪いサイトを告発する窓口も立ち上げ、本気度をアピールすると同時に、インターネットユーザへの連帯感を訴えました。

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ちなみにこの手の”不良情報・サイト検挙告発窓口”は、公安やインターネット協会などにもあります。

昨年、この手のサービスを使わない手はないと考えた私は、よく頻繁に迷惑行為を行っているネトウヨグループがDDoS攻撃行っている際に、その窓口フォームに記入送信し、該当ネトウヨが立ち上げたサイトを対処(=閉鎖)してくれるよう依頼懇願しました。

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投稿した窓口先は中国サイバーポリスで、その日の受付番号の様子から見ると届け出処理件数は~100件/日以内。負荷も少ないはずなので、それなりの返事をいただけると期待しましたが、5ヶ月たった今も案件ステータスは「処理中」。がっかり。期待した私がバカでした。

さて強力なCACが運営することによって、この放置プレー状況は今後改善されるか。期待してみます。

 

続きますが先月12月末には中国国内インターネットでGMAILが使いないという有り様。私もちょうど中国某所にいたのですが、ウェブからアクセスできないだけではなく、IMAP/POP3/SMIP接続が殆ど切断されている徹底ぶり。
ユーザが一番困ったと思いますがグーグルも困りました。グーグルは状況を調べた結果、「我が社のサーバの問題ではない」と説明。
それに対し中国外務省スポークスマンも負けじと、「GMAILが中国国内で使用できないことは聞いてないし知らない」としらばっくれました。

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 この状況からも、CACが指揮するインターネット某検閲機関が検閲システム(通称GFW。誤認識が多いようですが、「金盾」ではありません)を色々テストも兼ねて、アップグレードしてるのではないかと推測します。

この検閲システムの優れているところは、検閲の結果(通信遮断・ドロップ)をさも”ネットワーク障害”のように見せかけるところです。

そして中国共産党も政府も、この検閲システムの存在を”真正面”からめたことがありません。聞いても、

・しらない

・あるかもしれない

・人の家に入ったからにはルールに従え

・中国は来客を選ぶ権利がある

・中国は国外の有害情報、反国家情報から中国国民を守る必要がある

のような意味不明な答えばかりです。

GFWを構築した方滨兴教授は「中国GFWの父」として認知され、学生さんに靴を投げられるなどと有名人になっておりますが、権威のある政府役人がGFWに言及・或いは存在を認めたことはありません。

●「あなた方が仰っている検閲はネットワーク障害に過ぎぬ。大げさです」

私はこれは非常に賢い、ハイレベルな意識プロパガンダ手段だと思いました。

GFWの通信ブロック仕組みは多くの研究がされてますので割愛しますが、中でもDNSポイズン(=デタラメのIPを返す)に関して最近少し変化が現れました。

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上の図は、フェイスブックドメインを、ISP各地方のDNSサーバにてネーム解決を行った結果です。いろんなデタラメIPが返されてるのがわかります。

返されたものはこれまではただ空のIPだったのですが、最近は本物のIPを返されることが多くなったとネットユーザ間で囁かれてます。しかも外国のアダルトサイトだとか。これはGFWがアップグレードされ、通信エラーに見せかける演出度を更に上げるものではないか、と思います。

 

取り締まり、統制の続く強化・・・・

この調子では 2015年、間違いなくサイバー帝國主義が一層強化・拡張される一年になるのではないか、と思います。