振り返り|2014

このブログは2014年2月にスタートし、中国サイバー世界における出来事をメインに紹介させていただきました。日本語で発信していることからも、主に 国内の方々に紹介するつもりでいたのですが、思いのほか国外からのアクセスもあり、欧州、中東やなんと中国自身からの閲覧もあり、それほど皆様がサイバー世界における中国の動向に関心を持っていることと、実感しました。

 

中国はいまや6億を超えるインターネットユーザを抱えるまで達し、問答なしにサイバー大国となりました。また、中国大手ECであるアリババが9月にニューヨーク証券取引所に上場し大変な話題となったことから代表されるように、もはや自国内にとどまらず世界に、大国としての影響力を及ぼし始めております。

 

中国にとって「サイバー大国」となったいま、次の目指すものは「サイバー強国」です。

※サイバー強国=网络强国

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これは共産党中央が今年に明確に挙げた目標であり、本気度が感じられます。

習近平総書記政権は政敵「新四人帮」をやっつけたばかりで、益々権力の集中化が行われております。国として対外的には帝国主義的に、自国利益を最優先事項として推し進めるでしょう。

それはサイバーの世界においても同じく、6億ネットユーザを利用し中国に対して利益になることを交渉し押し進め、対内的には検閲強化などますます管理を深くしております。

この拡張現象を「サイバー帝國主義」と呼びましょう。

おそらくそれを最も意識しているのは、長らくインターネット・ガバナンスを支配してきたアメリカです。今年に米司法当局が5人の人民解放軍関係者をサイバー攻撃で起訴し、現在もFBIお尋ね者リストに掲示されていることからも垣間見ることができると思います。

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この事件を中国は相当根に持っているようで、アメリカに対しいずれ似たような仕返しをするように目論んでると思います。

 

この「サイバー帝国主義」がどのようなものになるか、おそらく中国も模索しながら行っていると思いますが、ある組織に焦点を当てることで、ある程度みえてくるのではないかとおもいます。

 

タイミング的にピッタリ その組織が本日、正式に対外サイトを公開しました。

 

中共中央网络安全和信息化领导小组办公室
Offcie of the Central Leading Group for Cyberspace Affairs

日本語に訳すと、

「中国共産党中央サイバーセキュリティ&情報化指導グループ弁公室」

になりますが、ここは英語名から訳した

「サイバー空間情勢指導グループ」

のほうがより、現実にそっているような気がします。

この組織は今年2月に設立され、習近平総書記が最高責任者として自ら就任し、今年を中国サイバー元年と決めました。

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そして「サイバーセキュリティ」と「情報化」を 強国づくりの2車輪と喩え、

サイバー強国(网络强国)となるべく推進しております。

“没有网络安全就没有国家安全,没有信息化就没有现代化”

 

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ここから一気に

・情報セキュリティ=サイバーセキュリティ=国家安全保障

という図式が出来上がり、セキュリティ市場が大変活発化になりました。

サイバーセキュリティ解禁元年と呼んでも過言ではないほどで、何十というセキュリティ関連の会合が開催され、もはやどの分野もサイバーセキュリティを中心に話題を展開している傾向があります。

特にスノーデン事件によるアメリカNSAのサイバー支配説を強く意識しており、このままアメリカの一元的な支配を許す訳にはいかない、サイバーセキュリティなくして国の安全保障はない、とイケイケドンドンです。

 

この「 サイバー空間情勢指導グループ」が主導してきた以下のイベントをみれば、サイバー空間でのガバナンス狙いはある程度見えてきます:

・第一回世界インターネット大会(インターネットガバナンス)

・第一回サイバーセキュリティ週間(セキュリティ意識向上)

・中国-アセアン・サイバー空間フォーラム(アセアン地域サイバーガバナンス)

 

そして対内的には「网络空间安全协会」(サイバー空間セキュリティ協会)を設置し、(形式的に)国内有識者専門家の意見を吸い上げ、政策に反映しております。この有識者というのが大変広い範囲で専門家を網羅しております。

 

もう一つ、この協会は人材育成にも重点をおいており、CTFを開催することにより人材の強化を図っており、現に中国全土レベルの攻防試合であるXCTFの予選がいよいよ完了し、決戦が行われようとしてます。

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この方向転換はかなりのものです。

昨年より前は、たとえ統制制限されたネット環境のCTF試合といえど、開催は相当慎重なものでした。それがいまやサイバーセキュリティを強化するにはCTFが一番!の風向きになってますから、部外者からすればなにか180度変わったような感じがするでしょう。

 

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さてこの「サイバー帝国主義」がどうなるか。

引き続き中国はサイバー世界を賑やかしてくれることでしょう。

 

ひとまず今年はここまで。ご拝読ありがとうございました。

来年も宜しくおねがいします。